その名はイシヒョウジ、人々を欺く、その心の深層にある恐怖や疑惑を引き出すという不気味な能力を持つ妖怪。この恐ろしい妖怪の犠牲者の一人、芸術家である鈴木太郎の経験は、イシヒョウジが持つ「錯誤」の能力の恐ろしさを証明します。
太郎は独自の芸術観で広く認知されていた芸術家で、彼の作品は高く評価されていました。ある日、彼は謎の男から彼の作品を大量に購入したいとの申し出を受けました。その男は非常に説得力があり、太郎はその申し出を受け入れることにしました。
しかし、その男はイシヒョウジだったのです。イシヒョウジは太郎を騙すために、彼の感覚と判断を歪め、太郎が錯誤を犯すように仕向けました。彼は自身の作品の所有権を譲渡する契約書を、購入契約書だと太郎に信じさせました。
そして、太郎は契約書に署名をした。しかし、後で彼がその契約書を再確認すると、それは彼の作品の所有権を全て譲渡するという契約書だったのです。太郎は自分の芸術作品の所有権を詐欺師に譲渡してしまいました。
この経験を語った太郎は言いました。「私の感覚と判断が歪められ、自分が何をしているのかすらわからなくなってしまった。それはまるで、私の心を操る何者かがいた。その何者か、それがイシヒョウジだったのだと思う。」
この恐ろしい出来事から、イシヒョウジの「錯誤」の能力の本質が明らかになります。それは、犠牲者の感覚と判断を歪め、誤った行動を取らせること。そして、その被害者は自己の信頼と価値を失うこととなります。