私が少年だった1980年代。それは僕にとって、科学の力がなんでもできると信じて疑わない無垢な時代でした。当時は、筑波科学万博が開催され、科学への関心が高まっていたのです。
その時期、僕は何よりも頭が良くなりたいと思っていました。そんな願望を叶えるために、科学の力を手に入れたかったのです。そして、僕が手に入れたその力がここにあります。この力は、友人から譲り受けたもので、その名もドクターキャッツポーです。
このマシンに手をのせ、ヘッドフォンから流れる音を聞いていると集中力が高まるとされていました。それは、まさに頭が良くなるための魔法のようなツールと思われました。
しかし、現実は思っていた以上に厳しいものでした。このドクターキャッツポーを使いこなすことは、私にはなかなか難しかったのです。今でも、その力を十分に発揮することはできません。この経験から学んだのは、科学の力を安易に頼りすぎることは危険だということです。真の力は、努力と根性から生まれるもので、それに代わるショートカットはないということを痛感しました。
そして、ある時に目にした雑誌に載っていたもう一つの力、「睡眠学習機」。この力もまた、手に入れようと一瞬思いましたが、結局はそれも見送ることにしました。
今思えば、あの頃の夢中で追い求めていた科学の力、二つとも手に入れた人は果たしているのだろうか。そんな人がいたら、きっと驚くことでしょう。
まあ、それはともかく、その経験が僕を成長させてくれたことに感謝しています。それが80年代の少年の冒険でした。