ゆうきまさみとヤマトタケルの冒険
最近、友人から手渡された一冊の漫画を読む機会がありました。そのタイトルは「ヤマトタケルの冒険」、著者はゆうきまさみです。この作品は、彼が「究極超人あ~る」でブレイクする前、今はもう存在しない月刊OUTという雑誌に掲載していたものです。さすがはゆうきまさみの作品、その面白さは言うまでもありません。
古事記の深遠な世界
しかし、その漫画の魅力はそのままに、何よりも私が強くお勧めしたいのは、原作となった古事記です。この古事記を読むことで、日本の神話の全貌を理解することができます。特に岩波版の古事記は、書き下し文と現代語訳が両方掲載されており、非常に分かりやすい作りとなっています。
古事記のあらすじ概要
物語の大筋を簡単に説明すると、兄を殺害した罪で大王に忌み嫌われ、危険な九州征伐という任務につかされます。そこで九州のクマソタケルを討伐し、自らヤマトタケルと名乗ります。続けて出雲のイズモタケルを討伐し、さらに東国を平定します。しかし、ヤマトに帰る途中、山神の化身であるイノシシに襲われ、死後は白い鳥になって飛び去ります。
クマソタケルとヤマトタケル
その中でも特に印象深いエピソードが、クマソタケル討伐の場面です。ヤマトタケルは女装してクマソタケルに近づき、これを見事に討伐します。死に際にクマソタケルは「ヤマトにもこのようなつわものがいたのか!タケルの名をやろう。今日からヤマトタケルと名乗るがいい」と言います。クマソタケルが普段から女装させた男の子を側に置いていた
のかもしれません。
古事記の中には、蛇やサメ、鰐などといった人外の姿を持つ配偶者を持つ大王(今でいうところの天皇)が数多く登場します。これは昔の日本が性に対して男女の区別、さらには人間と動物の区別をせず、開放的であったことを示しています。
古事記から見るLGBT
また、古事記を通じて、古代日本人がLGBTに対してどのような認識を持っていたかを垣間見ることができます。それは、現代の私たちがLGBTを理解し、受け入れるための一助となるでしょう。古事記の世界からは、我々が忘れがちな多様性と寛容さを学び取ることができます。
以上、ゆうきまさみの「ヤマトタケルの冒険」と、その元となった古事記の深遠な世界を一緒に探訪しました。漫画の楽しさと、それを通じて感じる日本の神話の豊かさ、そして古代の価値観が現代にもたらす示唆。これらをぜひ一緒に味わってみてください。