最近、ADHDの当事者である友人と話す機会がありました。私たちが話し合ったトピックの一つは、タスク管理について。私の友人が明かした視点は、ADHDを理解するための新たな視野を開いてくれました。
ADHDの当事者がタスクの組織化に苦労する理由は、タスクの組織化そのものが困難だからではない、と彼は言います。真の問題は、タスクを明確に分割し、組織化することで、達成すべき作業ややりたくないことがより鮮明になり、その実際の量が自分の想像を超えていたという事実が浮き彫りになることです。
彼が具体的な例を用いて説明してくれました。仮に、やりたくない作業の量を大まかに「100」と評価したとします。そうしたとき、「これは大変だけど、頑張ればなんとかなるだろう」という漠然とした前向きな気持ちで考えているとしましょう。しかし、その作業を具体的なタスクに分けて組織化してみると、その量は実は「200」であることが明らかになるのです。これは、自分が思っていたよりも仕事の量が多いという事実に直面し、やる気を削がれる要因となります。
そして更に、それらのタスクを管理するための新たな作業が増えると、その結果全体の作業量は「200」から「220」にまで増加してしまうのです。これはタスク管理そのものが追加の作業となり、結果的に全体の作業量を増やしてしまうからです。
そのため、ADHDの当事者がタスク管理に苦労するのは、タスクの組織化そのものが苦手なわけではなく、自分の作業効率を正確に見積もる能力に問題があると彼は指摘します。
私たちは、この話から多くを学びました。特に、タスク管理が難しい人々が直面している可能性のある問題と、それをどうにかして改善するためにはどうすればよいのか、についての深い理解を得ることができました。そして、私たちはまた、タスク管理に関する自分たちの考え方を再評価し、それがどのように自分たちの生産性に影響を与えるかをよりよく理解するための新たな視点を得ました。
我々は、ADHDを持つ人々が経験している困難を理解し、彼らがより効果的にタスクを管理できるように支援するための方法を見つけることが重要であると感じています。この話が、その理解と支援を深めるための一助になれば幸いです。