新たに販売されたプレミアム商品券の話題で、私の周囲はささやかな騒動を見せています。私の住むこの町では、すべての成人に対して商品券の購入を促すはがきが配布され、一枚で5万円分の商品を手に入れることができる、というシステムです。
しかし私自身は、今のところ、まだ商品券を買うつもりはありません。いえ、正確に言えば、たぶん買わないでしょう。
「なぜ買わないのですか?それは得ではないのですか?」と尋ねられることが多いです。理由はシンプルで、私にとってこれが本当に得なのか疑問に思うからです。
私の家庭では、支出のほとんどが税金、教育費、生協の費用に消えていくため、商品券を使う機会がそもそもほとんどありません。また、私の実家が農家であるため、米や野菜を購入するというニーズも少ないのが現状です。きっと、使い切る前に商品券の有効期限が切れてしまうでしょう。
私たちが住む田舎では、都会に比べて現金の重要性は少なく、社会の価値観が多少異なるのも事実です。
さて、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。「得」とは何でしょうか?
何もしていないのに一万円が一万二千円になること、これは一見、得に思えます。しかし、私は"得"というものはゼロサムゲームだと考えています。つまり、誰かが得をすると、それは必ずどこかで誰かが損をしている、という事実を忘れてはなりません。
プレミアム商品券の"得"の部分は、補助金によって成り立っています。つまり、それは税金です。もちろん、政府としては消費を刺激して景気を良くしたいのでしょう。しかし、その一方で、"損"はどこにあるのでしょうか?
それは、税金を納めている私たちのポケットから出ているかもしれません。または、プレミアム商品券の利用によりレジ作業が増えて大変になった店舗の労働力かもしれません。
デパートの閉店セールで、一時的に得をするかもしれない消費者の一方で、お店は赤字を抱え泣いています。100円ショップでの"得"は、薄利多売で消費税分すら価格に転嫁できないメーカーの苦悩の裏返しです。
無闇に得を求める行為は、徳を損なう可能性があります。
徳を大切にするためにも、少しの損を覚悟で買い物しましょう。金を持っている人は、それを使って雇用を生み出しましょう。
田舎での生活は、徳を持っていると食べ物をもらったり、休みを融通してもらったりと、さまざまな形で報われるものです。
だからこそ、"得"と"徳"のバランスを考えることが大切です。それは、私たち一人一人の選択によって形成されていくものです。